アルツハイマー病の脳内炎症における制御性T細胞の意義の解明
【研究キーワード】
認知症 / アルツハイマー病 / 脳内炎症 / 神経免疫 / 認知症疾患 / 神経変性疾患 / 細胞免疫
【研究成果の概要】
アミロイド病理モデルマウスであるAppノックイン(App-KI)マウスにおいて、脳内に蓄積するAβは加齢とともに増加し、活性化グリア細胞の増加とAβ沈着周囲への集簇といった脳内炎症の亢進が認められる。Foxp3陽性制御性T細胞(Treg)の脳内浸潤も経時的に増加し、Foxp3陽性Tregの薬剤誘導性選択的除去により脳内に沈着するAβが増加することを確認した。脳TregのシングルセルRNA-seq解析では、組織修復や免疫制御に関わる分子の発現増加が特徴的であった。アミロイド病理に伴う脳内炎症においてTregはAβ蓄積に抑制性に作用すると考えられ、今後治療標的となりうることが期待される。
【研究の社会的意義】
高齢化に伴い我が国の認知症患者数は急増しており、特にアルツハイマー病は認知症患者の半数以上を占めるが、未だ根治治療法はなく現行治療は症状軽減にとどまっている。アルツハイマー病患者脳では異常タンパク凝集と脳内炎症が亢進しており、本研究結果から生体に本来備わっている免疫調節機構の中心である制御性T細胞がアルツハイマー病の病態に深く関与していることが示唆され、今後の治療戦略につながることが期待される。
【研究代表者】
【研究種目】研究活動スタート支援
【研究期間】2020-09-11 - 2022-03-31
【配分額】2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)