Live Cell Analyzing Systemによる相動性組換え不全検出
【研究キーワード】
がんの個性診断 / バイオマーカー / ゲノム不安定性 / 相同組換え機能不全 / 乳がん
【研究成果の概要】
本研究では、乳がんの発症機構の一つである「相同組換え機能不全」(Homologous Recombination Deficiency:HRD)について、生細胞を用いて直接検出することにより、新たな乳がんの検出指標として確立することを目指した。
HRD検出系は、各細胞のHRDの程度を可視化するため、あらかじめ切断し切断部に相同性配列を配したCRE遺伝子をコードしたプラスミドベクターと、loxP配列によって切り出されるLuciferase遺伝子をコードしたプラスミドベクターを同時に導入することによって、細胞の持つ相動性組み換え活性をLuciferase活性に変換する。
前年度までに原理検証を行った同検出系を用いて、本年度は、6つの乳がん株細胞を用いて、BRCA遺伝子発現量とLuciferase発現量の相関を検証した。乳がん細胞に効率よく2つのベクターを導入するために、2つのベクター其々を最適な組成のリポソームに内包した。リポソームにはFFT脂質を使用し、乳がん細胞に最も効率よく導入できる組成を選択した。同リポソームを、6つのタイプの異なる乳がん細胞株(MCF-7、T47D、SKBr3、HCC70、MDA-MB-231、MDA-MB-468)に投与し、24時間培養後Luciferase活性をLive Cell Analyzing Systemで可視化した。同時に、相同性組換え修復に関わるBRCA-1/2遺伝子の発現量を定量RT-PCRで測定し発光量と比較した。その結果、5つの乳がん細胞でBRCA-A1/2発現量と生細胞のHRD活性に相関を確認した。
以上のことから、Live Cell Analyzing Systemを用いることで、1細胞レベルで相同性組み換え不全を持つ細胞の可視化が可能になり、バイオマーカーを用いずに、相同性組み換え不全の乳がんを検出できる可能性を示した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
太田 邦史 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)