高血糖時の分枝鎖アミノ酸代謝に着目した糖尿病性腎症発症機構の解明と予防法の開発
【研究キーワード】
糖尿病 / 代謝解析 / アミノ酸代謝 / 質量分析イメージング
【研究成果の概要】
この研究では、糖尿病の合併症のうち腎症の発症過程に注目し、高血糖下での代謝変容を解析することで病態解明を目指している。ストレプトゾトシン(STZ)誘導I型糖尿病性腎症発症モデル動物及び、2型糖尿病の病態モデルであるDB/DBマウスを用い、糖尿病性腎症の進展に伴う局所のエネルギー代謝の変化と、その結果として生じる小分子の局所分布に注目してイメージングメタボロミクス手法で定量及び可視化解析を行う。
今年度は、高タンパク餌で飼育したストレプトゾトシン(STZ)誘導I型糖尿病性腎症発症モデル動物及び、比較用正常動物に15Nで標識したBCAAを投与し、一定時間後に回収した臓器の15N標識の代謝物を定量することで、組織中の細胞へのBCAAの取り込み量、及び代謝物への変化量を計測した。
また、同じモデル動物より、RNAを抽出し、qPCR法でアミノ酸輸送体やアミノ酸代謝酵素の発現量を比較した。
これらの実験の結果、高タンパク給餌ストレプトゾトシン(STZ)誘導I型糖尿病性腎症発症モデル動物では、正常動物と比較して筋肉におけるアミノ酸輸送体の遺伝子発現が減少しており、細胞内に取り込んだBCAAの代謝酵素の遺伝子発現はBCAA代謝を抑制する方向に変化していることがわかった。遺伝子発現の変化は、15N標識体の代謝変化量の解析結果と矛盾はなく、ストレプトゾトシン(STZ)誘導I型糖尿病性腎症発症モデル動物では、筋肉におけるBCAAの取り込みと代謝の両方が正常動物と比較して減少していることが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
宮下 和季 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 特任准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)