HVJ-リポソーム法を用いた自殺遺伝子による前立腺癌ターゲティング療法の確立
【研究分野】泌尿器科学
【研究キーワード】
前立腺癌 / 遺伝子治療 / ターゲッティング / リポソーム / 自殺遺伝子 / 組織特異的 / プロモーター / エンハンサー / ターゲティング / 特異的プロモーター
【研究成果の概要】
1、プラスミドの作製:PSMAプロモーターをcytosine deaminase(CD)遺伝子が組み込まれた発現ペクターに組み込むことで本実験に用いるプラスミドを作成した。またリポーター遺伝子であるluciferase遺伝子をCD遺伝子の代わりに組み込んだプラスミドも作成した。
2、in vitro遺伝子導入:1で作成したリポータープラスミドをin vitroにおいて、ヒト前立腺癌細胞株DU145、LNCaP、PC3の3細胞にcationic lipidをvectorとして遺伝子導入した。PSMAを発現するLNCaPにおいてのみ、コントロールとして用いたSV40プロモーターに匹敵する遺伝子発現を得たが、PSMAを発現しないDU145およびPC3細胞ではPSMAプロモーターはぼとんど遺伝子発現能を持っていなかった。
3、動物モデルの作製:ヒト前立腺癌細胞株として、PSMAを発現するLNCaPを用い、本細胞を雄ヌードマウスの皮下に移植し、4週間目まで観察したところ、腫瘍が生着し測定可能な病変となることが確認された。
in vivoでの治療遺伝子の導入実験のためにはマウス個体間の生着腫瘍の偏差が大きいため、安定したモデルの確立が必要と考え、現在LNCaPのホルモン非依存性変異株であるC4-2を用いて動物モデルの確立を目指している。
4、本研究成果により、PSMAプロモーターを用いることにより、PSMA特異的に遺伝子導入・発現が得られることが確認されたが、PSMA発現細胞LNCaP自体に、導入された外来遺伝子を発現する能力が弱いことが判明した。またPSMAプロモーターのみでは、遺伝子発現効率が十分ではないこと、完全なPSMA拘束性の遺伝子発現調節が得られていないことから、今後はこれらを克服すべく、安定した遺伝子導入法の検討と未知のエンハンサー領域の同定が、本研究の推進には必要不可欠と考えられる。
【研究代表者】