特定の脳細胞選択的に薬剤送達する高分子集合体の開発と脳神経系疾患治療への展開
【研究分野】生体医工学・生体材料学
【研究キーワード】
薬剤送達システム / 脳 / 高分子 / 高分子集合体 / 生体材料 / 血液脳関門 / 脳神経系疾患 / 核酸医薬 / 薬物送達システム / 環境応答性高分子 / 多機能型高分子集合体
【研究成果の概要】
アルツハイマー病(AD)に代表される中枢神経系疾患を効果的に治癒するためには、血液脳関門(BBB)と呼ばれる生体内バリアを通過するだけでなく、脳実質部において、標的とする細胞にのみ薬剤を送達することが必要不可欠である。本研究では、生体内での安全性が担保された高分子をビルディングブロックとした核酸医薬を脳の神経細胞に選択的に送達する高分子集合体(PM)を開発した。ADモデルマウスを用いたin vivo実験より標的タンパク質の発現レベルを有意に抑制し、さらに行動試験において空間参照・長期記憶に関する能力を改善することに成功した。
【研究の社会的意義】
本研究で得られた成果は、有効な治療法が未確立である中枢神経系(CNS)疾患に対して、薬剤送達に基づく分子治療という抜本的解決策を提供するものであり極めて大きな意義を有している。様々な機能分子を中枢系に送達する方法論確立は、CNS疾患に留まらず、脳腫瘍やアミノ酸代謝異常など広範な疾患治療に大きく貢献することが確信される。また高分子/材料設計の観点からは、生体適合性・標的指向性・環境応答性という異なる機能を空間的に制御された形で構造内部に配置する仕掛けを創り込むなど、独創性に秀でた生体材料設計プロセスを当該分野にもたらす意義を有していると確信する。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2017-04-01 - 2020-03-31
【配分額】25,480千円 (直接経費: 19,600千円、間接経費: 5,880千円)