機能する培養ヒト神経回路組織の構築
【研究キーワード】
オルガノイド / 可塑性 / 神経回路組織 / in vitro / 学習 / 神経細胞 / 神経 / iPS細胞 / 脳
【研究成果の概要】
脳内の回路は複雑であるがゆえに高度な情報処理を行うことができるが、まさにその複雑さが脳の本質的な理解を阻む最大の難関となって立ちはだかっている。そこで本研究では脳内の神経回路を単純化して体外で再現し、学習させ、神経回路の機能と仕組みを理解する事を目指す。シナプスや神経細胞の可塑的変化はこれまで多く観察されてきたが、小さな可塑的変化の集積によって引き起こされる回路全体の学習を体外で達成した報告は無い。本研究代表者らは、脳が機能するために本質的に必須の要素は局所的な回路同士が巨視的につながりあう回路構造であるとの仮説を立て、この構造を持つ神経組織の回路を構築している。ヒトiPS細胞を三次元培養し、分化させると、自発的に発生中の脳のような構造を持った小さな組織ができる。このように幹細胞などから自発的に出来た神経組織は脳オルガノイドと呼ばれているが、細胞が持つ自発的発生プログラムのみによって作られた脳オルガノイドは局所的な回路しか模倣することができない。脳内で離れた領域同士がつながっている組織構造を模倣するために、代表者らは脳オルガノイドから伸びた軸索によって脳オルガノイドをつなぎ合わせた回路組織を作っている。これまでにマイクロデバイス内部で2つの脳オルガノイドを培養し、互いに伸びた多数の軸索がオルガノイド同士をシナプスを介してつなげる手法を確立した。このつながった脳オルガノイドは、つなげない通常のオルガノイドに比べて著しく活発な活動を示すことがわかった。また、この組織に外部から一定の時間間隔で繰り返し刺激を与えると、刺激に応じて可塑性を示すことなどが明らかになった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
ティクシェ三田 アニエス | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2020-07-30 - 2024-03-31
【配分額】26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)