ヒト骨発生機構の理解に基づく組織再生研究基盤の構築
【研究キーワード】
骨再生 / 幹細胞 / 一細胞解析 / hPSCs / 骨誘導 / ヒト多能性幹細胞 / ゲノム編集
【研究成果の概要】
2021年度は当研究室で開発したヒト多能性幹細胞由来三次元骨組織を用いた解析を行った。まず、ヒト多能性幹細胞から椎板細胞(骨軟骨前駆細胞)へのStepwise分化誘導を行った。RT-qPCRにより誘導効率を確認した後、誘導細胞を免疫不全マウス腎被膜下へ移植し三次元骨組織を誘導した。骨組織はin vivoマイクロCTにより経時的に観察し、骨構造が十分に形成されたことを確認した。誘導骨組織は、異なる日数経過後に取り出し、10x Genomics社のChromium解析プラットホームを用いて、一細胞RNA-seq(Single Cell RNA-seq)解析を行った。具体的には、組織から酵素処理により細胞を単離した後、10x Genomics社のChromium解析プラットホームを用いて、一細胞ごとに分子バーコードを付加した後、cDNA逆転写反応とDNAライブラリーの構築、および次世代シーケンサーNova-seqを用いたシークエンスを行った。得られたシークエンスデータに対して、東京大学医科学研究所スーパーコンピューターShirokaneを用いたバイオインフォマティクス解析を行った。Cell Rangerを用いてリファレンスゲノムGRCh38へマッピングした後、正規化・クラスタリングおよび次元圧縮解析により、類似の遺伝子発現により特徴づけられる細胞集団を同定した。既知の細胞分化マーカーやデータベースを参照し、各細胞集団のcharacterizationを行った。その結果、マウス由来の血球系細胞集団と、ヒト由来の骨格系組織が得られたことが確認できた。以上より、本手法により得られた骨組織はヒト骨格系細胞集団とマウス血球系細胞のキメラ構造を有していることが明らかになった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大庭 伸介 | 長崎大学 | 医歯薬学総合研究科(歯学系) | 教授 | (Kakenデータベース) |
酒井 崇匡 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
北條 宏徳 | 東京大学 | 大学院医学系研究科(医学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2025-03-31
【配分額】40,950千円 (直接経費: 31,500千円、間接経費: 9,450千円)