ネットワークの多様化が経済と心理に及ぼす影響-計量・行動経済学と理系の融合研究-
【研究キーワード】
ネットワーク / 保護主義 / 学融合 / 大規模データ / 社会実験 / 閉鎖性 / グローバル化 / 行動経済学的実験 / ビッグデータ分析
【研究成果の概要】
1.大規模な企業データによる経済ショックの波及効果の分析 このサブテーマでは、様々な企業レベルデータを利用して、新型コロナウイルスや米中デカップリングに伴う保護主義的政策などの経済ショックが企業に及ぼす影響を、企業のネットワーク構造の違いによる異質性に着目して分析した。その結果、(1)海外の経済ショックが国内経済に及ぼす影響は、海外ショックを直接受ける産業の国内サプライチェーン構造に依存すること、(2)国際的に多様なサプライチェーンネットワークを持つ企業は自然災害(コロナ禍を含む)による経済ショックに対して頑健で強靭であったことが見いだされた。
2.ベトナム・エチオピア・インドネシアにおける独自データによる閉鎖性の分析 このサブテーマでは、独自に収集した企業もしくは農村家計レベルのデータを用いて、企業のグローバル化の要因や村外の「よそ者」に対する意識の形成要因を、企業や農家のネットワーク構造に焦点を当てて分析した。その結果、政治的な強いつながりが閉鎖性を強める半面、自然災害は条件次第で閉鎖性を強めることも弱めることもあることを見出した。
この2つのサブテーマ以外にも、政治性向に関するデータを利用してポピュリストに対する支持と政治性向に関する分析などを行った。以上の研究実績のいくつかは、すでに査読付き国際学術誌に掲載されており、それ以外についてはディスカッションペーパーとして発表した後査読付き国際学術誌に投稿中である。また、これらの結果もとに、サーベイ論文や政策提言論文も発表した。
【研究代表者】