ヒストンメチル基転移酵素SUV39H1を含むヘテロクロマチン様複合体の構造解析
【研究キーワード】
ヘテロクロマチン / ヌクレオソーム / クライオ電子顕微鏡 / エピジェネティクス
【研究成果の概要】
真核生物のゲノムDNAは、ヌクレオソームを基本単位としてクロマチンを形成し、構造的・機能的に異なる区画を形成して遺伝子発現やゲノムの安定性を制御している。本研究では、構成的ヘテロクロマチンのエピジェネティックマークの書き込み因子であるSUV39Hと、読み取り因子であるヘテロクロマチンタンパク質HP1、およびヌクレオソームとで形成される複合体の立体構造を解析することにより、ヘテロクロマチン形成の機構を明らかにすることを目的とした。本研究では、HP1-クロマチン複合体の電子線トモグラフィー像を得ることに成功した。また、クライオ電子顕微鏡解析の高度化の過程で、新規ヌクレオソーム構造を明らかにした。
【研究の社会的意義】
構成的ヘテロクロマチンは、その領域からの転写やDNA組換えを抑制することによりゲノムの安定性に寄与すると考えられている領域であり、その破綻は癌などの疾患に繋がる。本研究で行ったHP1-クロマチン複合体の構造解析は、ヘテロクロマチン領域の形成と維持の機構解明のための基盤情報となるものである。また、クライオ電子顕微鏡解析技術の高度化の過程で得られた新規構造のうち、ヒト病原性寄生虫であるジアルジアのヌクレオソーム構造は、創薬の基盤情報を提供するものである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)