記憶B細胞の長期生存と組織内ダイナミクスに関わる分子機構の解明
【研究分野】免疫学
【研究キーワード】
記憶B細胞 / 辺縁帯B細胞 / ケモカイン受容体 / デコイ受容体 / 3940 / 細胞死 / Alternative Splicing / スフィンゴシン-1-リン酸 / 細胞死抵抗性 / inportinβ3 / PRMT6 / SMN exon7 / 変異マウス / 胚中心B細胞 / 長期生存抗体産生細胞 / アポトーシス
【研究成果の概要】
T細胞依存性抗原で刺激され活性化されたB細胞は胚中心を形成し、ここで高親和性記憶B細胞が産生される。産生された記憶B細胞は胚中心を離れ、長期の寿命を持って体内に維持され、二次免疫応答で迅速に抗体産生細胞に分化する。しかし、長期生存維持を司る分子機構は不明で、また、記憶B細胞の正確な組織局在やホーミングを司る分子は同定されていない。我々はこれまでに記憶B細胞で発現増強する遺伝子のクローニングを行ない、記憶B細胞で発現増強する多数の細胞内、細胞表面蛋白の遺伝子を同定した。解析の結果ヒト脊髄筋萎縮症の原因遺伝子であるSMN1遺伝子のマウスホモログが記憶B細胞及び胚中心B細胞に強発現し、試験管内で誘導されるアポトーシスを抑制する可能性が示唆された。更にSMN C末端領域はIgG1胚中心B細胞及び記憶B細胞の産生に必要であることが明らかにされた。また、獲得された遺伝子の解析から記憶B細胞がD6ケモカイン受容体を表面に発現することを明らかにし、記憶B細胞に高発現する新規遺伝子3940はERK6と相同性を有し、B細胞系列において記憶B細胞及び辺縁帯B細胞のみに高発現し、この遺伝子の発現が認められないB細胞株に強発現すると種々のアポトーシス培養条件下での細胞死に抵抗性を賦与されることを明らかにした。
【研究代表者】