自己免疫性自律神経節障害の「多様性」に関する多角的研究
【研究キーワード】
自己免疫性自律神経節障害 / 自己抗体 / 自律神経節アセチルコリン受容体 / 膠原病 / サルコイドーシス / 小児神経 / 自律神経障害 / 自律神経外障害 / 抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体 / 多様性
【研究成果の概要】
当該年度は自己免疫性自律神経節障害(autoimmune autonomic ganglionopathy, AAG)の臨床像を明確にするための臨床研究の総括を継続した。今年度は非特異的AAGへの臨床研究を行い、幼小児期発症のAAGの臨床的特徴を報告した。成人発症例と比較した小児AAGの特徴として以下が明らかとなった。1)先行感染に引き続き急性発症することが多い、2)自律神経症状は初発症状も含め腹部症状が多い、3)体位性頻脈症候群が多い、4)脳症の合併例が多い。本研究により、小児AAGは感染を契機に急性発症し、特徴的な臨床像を呈することが初めて明らかとなった。小児期に発症し成人となっている症例(現在5例)を加えた検討により、小児AAGの臨床像をさらに明らかにする予定である。さらなる小児例の集積により、AAGの疾患概念がより明確となり、移行期医療を含めた包括的医療が提供されることが期待される。
これらの他、神経サルコイドーシスにおける自律神経障害についての解析を行った。また膠原病(全身性エリテマトーデス、間接リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群)における自律神経障害の頻度、重症度解析については全てのデータを集積し終え、自律神経節アセチルコリン受容体抗体の測定も終了し、現在結果解析中である。
能動免疫によるAAG動物モデル作製についても実験は終了し、結果解析も終了、現在は論文投稿中である。
患者血清・健常対照血清を用いてのルシフェラーゼ免疫沈降、cell-based assayによる抗gAChR抗 体サブクラスの解析についても進んでいる。自己抗体のIgGサブクラスの解明は免疫病態として補体の介在があるかどうかを見極める、そして治療手段の解明に繋がる研究である。
【研究代表者】