生体系における一分子力学の建設
【研究分野】生物物理学
【研究キーワード】
一分子力学 / 細胞間接着 / 分子間相互作用 / 光ピンセット / AFM / 磁気ピンセット / pNレベル / 生体分子機械
【研究成果の概要】
生体高分子1分子を柔らかい手(例えば、光ピンセットやガラス微小針)を用いて掴んで操作する事が出来るようになった。さらに、一分子力学の方法は、生細胞内で1分子を操作し、細胞の真似をしたり邪魔をしたりすることを可能にした。本質的にヘテロな細胞中で確率過程論的に働く生体分子機械の作動機構を解明するには、一分子力学の方法をさらに発展させる以外にない。本研究では特定領域研究として強力に1分子力学の方法を推進するため、その方法の理論的枠組み、道具立て(特殊装置の開発とその汎用機化)の基盤を形成した。
1分子の操作は金コロイド、ビーズ、AFMチップなどに分子を結合させ、それらを光ピンセット、AFM、磁気ピンセットなどで操作することによって行う。pN-nNレベルの力と0.1-数nmの空間精度が達成される。これらの方法をさらに発展させ、一分子力学の方法と理論を確立した。本年は以下の3つの重点項目について、議論と意見交換をおこなった。
【1】一分子の異性化/構造変化/変形/タンパク質の(アン)フォールディングなどを、1分子に力をかけておこなった。構造変化と力の関係、及び、変化にかかわるポテンシャル(エネルギーランドスケープ)を明らかにした。このとき、分子動力学計算の援用についても議論した。
【2】分子間相互作用の研究を、2分子間に働く力の問題として、直接的に調べる方法と理論について。方法は【1】と同じ。特に、動的な負荷のかけ方と反応過程のエネルギーランドスケープの関係を重視した。
【3】分子間相互作用や分子構造の変化と生理機能とのカップリングについて。
【研究代表者】