皮膚由来3次元組織構造体(オルガノイド)の培養法の確立と解析
【研究キーワード】
3次元構造体 / オルガノイド / ケラチノサイト / 皮膚 / 3次元組織構造体
【研究成果の概要】
マウス皮膚より3次元組織構造体;オルガノイドを作成した。皮膚オルガノイドは基底層側が外側、角化層が内側を向き、内腔に角化物が充満する嚢腫構造を呈し、正常皮膚を模倣する。経時的に観察すると、複数個のケラチノサイトの集塊が発育し、成熟したオルガノイドが形成された。克服すべき課題は、長期培養を可能にすることであった。初代培養と継代培養を比較したRNA-seq解析から、継代によりmTORシグナル伝達経路の抑制が判明した。継代培養群でAktのリン酸化レベルが減少しており、Akt活性が減少しmTOR経路が抑制されることが示唆された。現在、Aktを活性化する小分子SC79が長期培養に寄与するか検証中である。
【研究の社会的意義】
本研究では、マウス皮膚から正常の皮膚(表皮)を試験管内で再現した機能的オルガノイドの培養系を確立した。皮膚の表皮細胞は生体の恒常性の維持に重要な役割を担っており、皮膚の生体外の器官培養系を確立することは、生体外評価モデルの構築として重要な意味を持つ。長期の継代培養が課題であるが、今後、皮膚オルガノイドの長期培養が可能となることで、表皮の恒常性維持、がん化メカニズムを理解するために最適なプラットフォームを提供することが期待される。また遺伝子改変による疾患モデルに応用可能であり、薬剤スクリーニングも容易となり、臨床に貢献しうると考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)