最新のシングルセル及び超微量ヒストン修飾解析による、エピゲノム不妊分子機構の解析
【研究キーワード】
生殖細胞 / 幹細胞 / エピゲノム / 精子幹細胞 / エピジェネティクス / シングルセル解析
【研究成果の概要】
個体の一生涯、精子幹細胞が、精子産生を支持する。これまで、精子幹細胞の同定や性状解析には、特異的に発現する転写因子や受容体、分泌蛋白分子の解析が中心であった。しかし、幹細胞の分化制御機構に、近年急速に解析が進行し、様々な新知見が得られているエピジェネティクス制御機構がどのように関わっているのか、その多くは未だ明らかとなっていない。私どもは、これまで幾つかのエピジェネティックな因子が、精子幹細胞の分化制御機構に作用していることを見出してきたが、それは氷山の一角に過ぎないと考えている。そこで、独自に開発した手法で、様々なヒストン修飾酵素の遺伝子改変マウスを、次々に作出しているドイツのグループと共同研究を行うことにより、精子幹細胞からの分化異常を起こすヒストン修飾酵素を同定することを行なっている。また、英国との共同研究では、最新のマルチオミクス・シングルセル解析手法を取り入れることにより、より特徴のある細胞を正確に同定することを試みている。現在、最も一般に行われているシングルセル解析は、主に、遺伝子発現を検索するscRNA-seq法が用いられている。近年、シングルセルレベルで、オープンクロマチン領域を同定する解析も広まりつつあるが、それぞれの実験は、別々の細胞を用いて単独で行われている。遺伝子から蛋白が形成されて初めて、その分子は機能する。したがって、遺伝子発現だけでの幹細胞分化過程の解析は、時に誤った結論に結びつくことが見受けられる。そこで、同一細胞から、遺伝子発現の解析ばかりでなく、DNAのメチル化や、ヒストン修飾などの変化の結果を反映するヌクレオソームの間隔などの違いを調べる手法を用いることにより、より正確な細胞の分化度の評価が可能となると考えている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
富澤 信一 | 横浜市立大学 | 医学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
鈴木 絢子 | 東京大学 | 大学院新領域創成科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2019-10-07 - 2023-03-31
【配分額】18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)