alphaGlcNAcの諸臓器における腫瘍の悪性度マーカーとしての有効性の検討
【研究分野】人体病理学
【研究キーワード】
幽門腺 / 粘液 / 糖鎖 / がん / 病理診断 / αGlcNAc / MUC6 / HIK1083 / 幽門腺型粘液 / LEGH / 胃型腺癌 / MDA / 診断病理学
【研究成果の概要】
正常ヒト幽門腺は、コア蛋白のMUC6の側鎖にα1,4-linked
N-acetylglucosamine(αGlcNAc)による糖鎖修飾を伴う腺粘液を産生する。本研究では、胃、膵、子宮頸部の腫瘍性病変におけるαGlcNAc発現を免疫組織化学的に検討した。その結果、がん病変だけでなく、前がん病変である、幽門腺型腺腫、膵管内上皮新生物(PanIN), 膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN), 分葉状頸管腺過形成(LEGH)でも、異型度の増加と共にαGlcNAcの発現が減弱していた。これは、腫瘍発生の早期からαGlcNAcによる糖鎖修飾が減弱することを示しており、早期がん診断の一助になると考えられる。
【研究の社会的意義】
本研究により、幽門腺型粘液に特異的な糖鎖修飾であるα1,4-linked N-acetylglucosamine(αGlcNAc)の消失が、胃や膵臓、子宮頸部の腫瘍において、浸潤がんだけでなく、その前がん状態から起きていることが明らかになった。
近年のがん診断、治療デバイスの進歩によって、腫瘍の早期病変の病理診断が非常に重要になっている。本研究成果にて、胃、膵臓、子宮頸部の病理標本でαGlcNAcの発現を確認すれば、腫瘍の早期診断に役立つことが示された。また、糖鎖修飾の変化と腫瘍の悪性度の関連を示した本成果により、糖鎖の変化を基盤とした、新たながん悪性化の機序が明らかにされる可能性が考えられる。
【研究代表者】
【研究協力者】 |
中山 淳 | |
藤井 千文 | |
大彌 歩 | |
井田 耕一 | |
石井 恵子 | |
浅香 志穂 | |
下條 久志 | |
宮本 強 | |
塩沢 丹里 | |
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【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2017-04-01 - 2019-03-31
【配分額】2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)