非アルコール性脂肪肝炎発症・進展機序における迷走神経肝臓枝の役割についての検討
【研究キーワード】
非アルコール性脂肪肝炎 / 脳肝相関 / 肝星細胞 / 肝臓病 / 臓器相関 / 迷走神経 / 肝臓星細胞 / 肝臓線維化 / 副交感神経 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 神経細胞 / 迷走神経肝臓枝
【研究成果の概要】
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝硬変、肝細胞癌に進行する疾患である。NASH患者が急増する本邦において、NASH病態発症・進展機序の解明しなければならない。そこで、本研究では、NASH病態における迷走神経肝臓枝を役割解明を目的とした。
迷走神経肝臓枝を切除するとNASHの肝臓線維化病態を増悪させた。肝星細胞にはムスカリン型アセチルコリン受容体サブタイプ2(mAchR2)が高発現していた。mAchR2欠損マウスでは、野生型マウスと比べて、CCl4およびMCDによる肝臓線維化を増悪さえた。肝星細胞のムスカリンシグナルは肝臓線維化に対して抑制的に作用することが示唆された。
【研究の社会的意義】
本研究では、近年注目される脳肝相関に着目した。肝臓内の神経線維維持において、肝星細胞が分泌されるグリア細胞株由来神経栄養因子が重要な役割を果たすことが本研究により明らかとされた。さらに、肝星細胞内のムスカリンシグナルが活性化および細胞増殖を抑制していることが明らかとなった。これまで、脳からの指令は、肝細胞や免疫細胞に作用することが示されてきたが、本研究により脳から伝播されるシグナルは肝星細胞のような線維芽細胞にも作用することが示された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)