代謝性疾患としてのC型肝炎:生活習慣病と肝発癌への病態解明
【研究分野】消化器内科学
【研究キーワード】
C型肝炎 / インスリン抵抗性 / 肝脂肪化 / トランスジェニックマウス / 代謝 / プロテアゾームアクティベーター / 核内受容体 / プロテアゾームアクテベーター / プロテアゾームアクチベーター
【研究成果の概要】
C型肝炎ウイルス(HCV)は肝臓を主なターゲットとするウイルスであるが、多臓器に病変を引き起こすことも次第に明らかになってきている。さらに、最近になり、HCV感染症の代謝性疾患としての病像が注目されてきている。我々は、C型慢性肝炎患者とマウスモデルを用いて、 HCV感染症において脂質代謝異常、インスリン抵抗性が発生することを明らかにし、その機序を解明してきた。インスリン抵抗性は、C型慢性肝炎の肝線維化進行にも影響を与えることが示されている。我々は、HCVによってもたらされるインスリン抵抗性や脂質代謝異常が、C型慢性肝炎線維化の進行に与える影響とその機序を明らかにし、治療法の開発を図る。
インスリン抵抗性を発症するコア遺伝子トランスジェニックマウスをモデルとして、肝におけるインスリン・シグナル経路を詳細に検討した。プロテアゾーム・アクチベーター(PA)28γがHCVコア蛋白と相互作用することを我々は既に報告してきたが、PA28γノックアウトマウスとHCVコア遺伝子トランスジェニックマウスを掛け合わせることで、コア蛋白が生体内において肝脂肪化とインスリン抵抗性発生という病原性を発揮するためには、PA28γ分子の存在が必須であることが明らかとなった。すなわち、コア蛋白は核においてPA28γ分子と結合してユビキチン化されるが、それが病原性発現に重要である。また、脂質代謝関連遺伝子の転写因子である核内受容体PPARαがコア蛋白によって活性化され、コア蛋白による肝細胞ミトコンドリア電子伝達系機能障害と相まって、脂肪酸増加→酸化ストレス増加→ミトコンドリア機能障害→脂肪酸増加という負のスパイラルを引き起こし、肝脂肪化やインスリン抵抗性の発生に深く関与していることが明らかになった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
藤江 肇 | 東京大学 | 医学部・附属病院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
四柳 宏 | 東京大学 | 医学部・附属病院 | 特任講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】17,400千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 1,800千円)