神経組織の細胞接着蛋白L1および関連蛋白の機能解析
【研究分野】医化学一般
【研究キーワード】
L1蛋白 / 免疫グロブリンスーパーファミリー / 細胞接着能 / 神経細胞の突起伸展 / 細胞移動 / シュワン細胞 / 遺伝性ニューロパチー / PO蛋白 / L1 / PO / 細胞接着 / 神経細胞 / ミエリン / Charcot-Marie-Tooth病 / アイソフォーム / モノクローナル抗体 / サブプレート / 神経突起伸展 / P0 / 接着性蛋白
【研究成果の概要】
L1蛋白は神経組織に特異的に発現する高分子の免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜糖蛋白であり、L1遺伝子の変異により脳の形成や知能発育に異常の起こることが示されている。私達はL1および関連蛋白の構造と機能の研究を行ない、以下のような成果を得た。
1)L1cDNAを培養L細胞へ導入し、L1を発現する細胞系を確立した。L1発現細胞はホモフィリックな細胞接着能を示し、その結果、カルシウムチャネルが開口し、細胞内カルシウム濃度が上昇することが明らかとなった。L1発現細胞は小脳神経細胞の再凝集塊と共培養した場合、神経細胞の突起伸展、成長円錐の発達および神経細胞の遊離移動を促進した。L1による神経細胞移動能はNCAM,フィブロネクチンと比較して顕著であった。
2)分子量20万の完全型L1は神経細胞に選択的に発現することが知られているが、短い2エキソンを欠損したL1アイソフォームが別に存在し、シュワン細胞などの非神経細胞に発現しており、短型L1は完全型と比較して細胞移動促進活性が弱く、リン酸化部位の欠損がその原因である可能性が示された。
3)分子量20万のL1蛋白が分解されて、分子量8万分子が産生されると、接着阻害活性を示す可能性が明らかにされ、発育過程に機能変化することが示唆された。
4)PO蛋白はホモフィリックな細胞接着能および神経突起伸展の促進作用を示すが、それぞれの活性部位が異なることを明らかにした。ヒトPOcDNAのクローニングを行ない、アミノ酸配列を推定し、その遺伝子が1番染色体上のq22-23に存在することおよび遺伝性ニューロパチーのCharcot-Marie-Tooth病1Bの家系でPO遺伝子に点変異のあることを明らかにした。
【研究代表者】