金星大気の衛星間電波掩蔽観測計画に向けた観測システムシミュレーション実験
【研究キーワード】
衛星間電波掩蔽観測 / 観測システムシミュレーション実験 / データ同化 / 金星大気 / 大気大循環モデル / 電波掩蔽観測
【研究成果の概要】
金星探査機「あかつき」の観測により、2015年12月以来、紫外イメージャ(UVI)の画像の雲追跡から得られる水平風速、中間赤外カメラ(LIR)の画像から導出された温度の水平分布、電波掩蔽観測から得られる温度の鉛直分布等の金星大気データが蓄積されてきている。本研究では、複数の小型衛星を用いた衛星間電波掩蔽観測観測や様々な波長帯のカメラ衛星観測を想定して、あかつきの観測上の制約を取り払い、観測範囲(昼面、夜面、観測緯度帯)、観測頻度をさまざまに変えた観測システムシミュレーション実験(OSSE)を行い、その観測の有効性を調査している。
令和2年度に実施した惑星規模の赤道ケルビン波の再現実験では、山本勝准教授(九州大学)から提供を受けた金星大気大循環モデルMIROC-VGCMの出力を用いた疑似観測と、データ同化に使用した金星大気大循環モデルAFES-Venusの平均東西風が大きく乖離していることが原因で、実験結果が破綻するケースがあり、その調整に苦慮した。また、過去の観測から、観測時期によって赤道ケルビン波が顕著に見られる期間とロスビー波が顕著に観測される期間とがあることが分かってきている。
令和3年度では、新たに神山徹主任研究員(産業総合研究所)より、線形の3次元波伝播モデルを用いて赤道ケルビン波を顕著に再現した疑似観測の提供を受けて、新たなOSSEを実施した。疑似観測データとAFES-Venusの基本設定をより簡素化して、赤道ケルビン波擾乱を適切に再現できる観測条件を探索した。さらにケルビン波の運動量輸送も定量的に見積もった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
杉本 憲彦 | 慶應義塾大学 | 法学部(日吉) | 教授 | (Kakenデータベース) |
森本 睦子 | 慶應義塾大学 | 法学部(日吉) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)