樹木少数集団の探索手法の開発
【研究キーワード】
環境DNA / 核SSRマーカー / 葉緑体DNA / 立地環境 / 環境DNA / GIS
【研究成果の概要】
本年度は、樹木を検出できる可能性がある水および落葉サンプルからの環境DNAを対象とした解析方法を検討した。
2020年度の結果から、種数を限定した水サンプルを想定した実験系で核SSRマーカーでの樹木種の検出が示唆されたが再現性に乏しかったため、2021年度は葉緑体DNAに着目した解析を開始した。ジーンバンクへの登録数が比較的多い複数の座の増幅を行い、良好な増幅結果を得た。水サンプルに加え落葉サンプルからのターゲット種が検出可能かについても検討した。樹種特定が不可能な状態の落葉からDNAを抽出し核SSRマーカーで増幅確認をし、水サンプルよりも安定した結果が得られた。しかし、水サンプルの濃縮プロセスとは異なり、落葉はサンプルの一部を取り出す必要があり、どの程度の範囲からどの程度の量を採取するかの検討が必要であった。さらに、屋外サンプルとしてイロハモミジとアサダの落葉の入水が確認されている池から採水したサンプルを500ml、1L、5L、10Lずつ脱脂綿を用いてろ過した後、脱脂綿上の残渣からDNAを抽出した。抽出DNAをテンプレートとして、ビーカーを用いた実験系で利用した核SSRマーカーと、葉緑体の3領域のプライマーを用いてPCRの増幅確認を行った。1Lと5Lの残渣由来のDNAを用いた場合は葉緑体の3つの領域のみでPCR増幅が確認された。500mlと10Lのろ過残渣から得られたDNAをテンプレートにした場合、1つまたは2つの葉緑体の領域しかPCRの増幅確認ができなかった。核SSRマーカーに関しては、一部のサンプルでPCR増幅はしていたが、期待長のPCR増幅は確認できなかった。ビーカーを用いた実験ではほぼすべての試験区から葉緑体のプライマーを用いたときのPCR増幅が確認されたが、一部増幅しない実験区もあり、溶液中の葉緑体DNAの存在量に大きなばらつきがあることが推測される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
黒河内 寛之 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)