東南アジアに混在する有害赤潮原因シャットネラ新規系統群の識別と分布特性
【研究キーワード】
有害藻類 / 赤潮 / ラフィド藻 / シャットネラ / 系統分類 / 微細構造 / 分布 / 東南アジア / 増殖特性
【研究成果の概要】
東南アジア沿岸域に分布する有害ラフィド藻Chattonellaの出現情報をまとめ,系統群レベルでの分布を明らかにした。東南アジアでは1989年までは3件の出現に限られたが,2019年までには8件の漁業被害を含む30件以上の出現が認められた。系統解析からは,東アジアにはC. marina系統群のみが分布し,東南アジアには4系統群(C. marina系統群,C. subsalsa系統群,2新規系統群)が混在することが確認された。東南アジアでの本属の漁業被害は,主にC. subsalsa系統群によることが推察された。高水温における増殖は4系統群の中でC. subsalsa系統群が最も高かった。
【研究の社会的意義】
海産ラフィド藻Chattonellaは日本沿岸で大きな漁業被害を発生してきた有害藻類である。東南アジアでは出現情報も限られていたが,近年では本属による漁業被害が発生していた。本研究で明らかにした東南アジアにおける本属系統群の分布情報により,東アジアにはC. marina系統群のみが分布する一方,東南アジアにはこれを含む4系統群が混在し,中でもC. subsalsa系統群が高水温に対する耐性が高く,漁業被害にも関わってきたことが推察された。この識別技術により,日本沿岸にC. subsalsa系統群などが将来導入された際にも,出現が知られていたC. marina系統群との識別が可能となる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
高橋 和也 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 特任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)