東南アジア沿岸域に潜在する小型有害渦鞭毛藻の個体群分布
【研究キーワード】
赤潮 / 貝毒 / 渦鞭毛藻 / 系統分類 / 微細構造 / カレニア科 / アンフィドマ科 / 東南アジア / 有害藻類 / 毒分析
【研究成果の概要】
アジア沿岸域に出現する小型有害渦鞭毛藻カレニア科とアンフィドマ科を主対象に,出現種の形態形質と系統的位置を明らかにし,種や個体群レベルでの分布把握を目的として調査を継続している。今年度も感染症の状況により東南アジア沿岸域における現地合同調査は実施できていないが,試料採集は現地研究者に依頼して進めている。日本沿岸では北海道東部太平洋岸に大規模な赤潮が発生したため,この原因種Karenia selliformisの形態的・遺伝的形質を明らかにするとともに,赤潮に混在したカレニア科渦鞭毛藻を同定した。混在種にはKarenia mikimotoi,Karenia longicanalis,Takayama sp.を含め6種のカレニア科渦鞭毛藻が検出された。K. selliformisの細胞については葉緑体の形状と数に特徴があり,類似する混在種と識別可能であった。2019年に検出したK. selliformisとは種内で異なる系統群に含まれたことから,これらの相違に関する調査を形態等に基づいて進めている。アンフィドマ科の出現も日本沿岸で進め,今年度はA. poporum(系統群B),A. cf. dexteroporum,Amphidoma cf. languidaの出現を確認し,培養株を作成している。毒分析ではA. poporum株よりAZA-2とは異なるアザスピロ酸類縁体を検出できている。10月にはオンラインで開催された国際有害藻類学会でアジアに出現するカレニア科渦鞭毛藻の系統分類に関する招待講演を行った。オンラインで実施されたWESTPAC-HAB,PICES S-HAB,IP-HAB分類タスクチーム等による有害藻類に関する国際連携で情報を共有している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
高橋 和也 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 特任研究員 | (Kakenデータベース) |
鈴木 敏之 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 | 水産技術研究所(長崎) | 部門長 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2019-10-07 - 2023-03-31
【配分額】18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)