糸状菌における多様なセルロース分解酵素の機能と遺伝子発現の解析
【研究分野】林産学
【研究キーワード】
セルロース / 糖質分解酵素 / セルラーゼ / 糸状菌 / プロテオーム / バイオインフォマティクス / Phanerochaete chrysosporium / 遺伝子発現 / 糖質関連酵素 / 糖分解酵素 / クローニング / キシラン / セロビオース脱水素酵素 / 担子菌 / β-グルコシダーゼ / Grifola frondosa
【研究成果の概要】
糸状菌によるセルロース分解は菌体外においてセルラーゼによりセルロースがセロビオースに変換され,さらにβ-グルコシダーゼによってセロビオースはグルコースに変換されたのち,菌体内に取り込まれてエネルギー源として代謝されていくと考えられてきた。しかしながら,多くの糸状菌ではβ-グルコシダーゼに加えて,セロビオース脱水素酵素と呼ばれる酸化還元酵素がセルロース分解過程で生産されてくることが知られている。
そこで,本研究では,糸状菌が生産する主要なセルラーゼCe17によるセルロースから分解生成物として得られるセロビオースの代謝に関連して,菌体外β-グルコシダーゼ(BGL)およびセロビオース脱水素酵素(CDH)の酵素機能とその遺伝子発現解析を行った。その結果,そのいずれにおいても菌体外でのセロビオース代謝にはCDHのみが関与しており,菌体外BGLは関与しないことを明らかにした。また,菌体外BGLの生理的機能が菌体壁グルカンに関与することを示す生化学的データを得た。さらに,木材劣化に関与する白色腐朽菌のみならず,褐色腐朽菌においてもCDHが同様の働きをしていることを示すデータを得た。
また,白色木材腐朽菌Phanerochaete chrysosporiumのゲノム情報を利用することで,セルロース分解培養系におけるプロテオーム解析の結果,11種類の糖質加水分解酵素とCDHを2次元電気泳動上で確認することができた。さらに,ゲノム情報を用いて1種の新規の菌体外チトクロムb562をコードするcDNAをセルロース培養系からクローニング成功し,またこの遺伝子をメタノール資化性酵母菌Pichia pastorisの発現系において活性型タンパク質として生産することに成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
五十嵐 圭日子 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2002 - 2004
【配分額】16,800千円 (直接経費: 16,800千円)