気候変動の影響緩和を目指した北方針葉樹の環境適応ゲノミクス
【研究分野】森林科学
【研究キーワード】
トドマツ / SNP / 局所適応 / 産地選択 / 多変量ランダムフォーレスト / 地理的遺伝変異 / 適応的遺伝子 / QTL / 種分布モデル / 連鎖解析 / GWAS / クライン / 形態生理 / 集団遺伝 / SNPアレイ / 積雪環境 / カロチノイド / 植栽適地モデル / ランダムフォーレスト / 成長予測 / ベイジアンラッソ回帰 / 光合成特性 / EST-SNP / EST-SSR / 北方針葉樹 / アソシエーション解析 / 遺伝子発現 / 生理形態 / 植栽適地 / 光合成 / SNPマーカー / 標高適応 / 南限集団 / 縦横比 / PAM / QTL解析 / 分布予測モデル / 相互移植試験 / ゲノムワイドSNP解析 / 生理形質 / 形態形質 / ddRAD / 天然集団 / トランスクリプトーム / データベース / 将来気候予測 / DNAチップ
【研究成果の概要】
トドマツ産地試験林の形態・生理解析から、適応に関与する機能形質を解明した。分離集団を用いて機能形質のQTLを解明し、樹冠発達にかかわる遺伝子としてAタイプARRのタンパクが候補として挙げられた。トドマツ相互移植試験地の表現型データとSNPデータに基づくアソシエーション解析から、生残・成長・繁殖等の適応形質に関連する候補SNPを検出した。北海道全域の天然林を対象に、集団遺伝解析を行い、気象因子が遺伝構造に及ぼす影響を明らかにした。さらに、産地試験地と気象データを統合し、北海道全域における最適産地を選べるモデルを構築できた。
【研究の社会的意義】
トドマツでは相互移植試験の結果から局所適応していることが示唆されており、環境適応に関与するゲノム研究のモデルとして最適である。本研究では、トドマツの相互移植試験地のアソシエーション解析から適応形質に関連する候補SNPを検出することができた。また、種分布モデルと産地試験データを融合させて、気候に適合する産地選択を行えるようになった。北海道では現在、地域別の採種園が造成されているが、本研究の成果をもとに、人為的な適応的遺伝子の移動を介して、各地域のトドマツ林を将来にわたり健全で生産性の高いゲノム組成を持つ森林へと改良することで、気候変動の影響緩和に貢献することが期待される。
【研究代表者】