地球温暖化に伴う温帯・北方系樹種の生態遺伝育種に関する研究
【研究分野】林学
【研究キーワード】
地球温暖化 / 北方林 / 温帯林 / 遺伝的変異 / 種特性 / カバノキ属 / カラマツ属 / コナラ属 / トウヒ属 / DNA分析 / アイソザイム分析 / フェノロジー / 温暖化 / マツ科 / ブナ科 / カバノキ科 / 遺伝変異 / DNA
【研究成果の概要】
本研究では、地球温暖化に伴う気候帯移動による、温帯林・北方林の森林植生変化の影響を明らかにし、生態系維持の方策を検討することを目的として、その構成樹種の生理・生態・遺伝的特性を明らかにし、遺伝子資源や系統の保全ならびに温暖化抑制のための適正樹種の育種等について検討した。マツ科、カバノキ科、ブナ科の樹種を対象に、(1)遺伝子資源の保全、(2)生理生態的にみた遺伝子変異幅の把握、(3)個体群統計学的解析と併せてDNAフィンガープリント法を導入した集団遺伝的分析、(4)主要構成樹種の適応予測、(5)気候変動に適応可能な系統の選抜等に関する調査、実験を組織的に行った。具体的には、1.温暖化による衰退が予測される富士山のハリモミ林について、更新状況とアイソザイム解析による遺伝的構造を調べた。2.種の分布域の変動が類似種との交雑を可能とすることを予測し、コナラ属樹木の雑種形成について検討した。3.北方林の環境変化に対応した森林を期待できると考えられるカラマツ属についてcpDNAの制限サイト多型の探索を行い種間関係を明らかにした。また、RAPD法を用いてカラマツ属植物系統分類学的検討を行った。さらに、対病・対鼠性等についても検討を行った。4.カバノキ科植物のうちで最も様々な環境に適応しているカバノキ属18種について遺伝子レベルでの類縁関係の解析を行った。5.日本の冷温帯林の代表樹種であるブナの遺伝的多様性について、西日本を中心にアイソザイムによる解析を行った。また、ブナの光周性・温周性と伸長成長の関係を検討した。
以上の結果、温帯・北方林を構成するマツ科・カバノキ科・ブナ科の主要樹種の種特性や遺伝的変異に関する情報と、温暖化にかかる生態遺伝育種に関する研究をいっそう深化させるため重要な遺伝資源を収集管理することができた。
【研究代表者】