ディファレンシャルディスプレイ法によるイネいもち病抵抗性
【研究分野】育種学
【研究キーワード】
ディファレンシャルディスプレイ / イネ / いもち病 / 抵抗性 / ストレス耐性 / アルカリ性土壌 / 耐病性
【研究成果の概要】
前年度までの成果から、ディファレンシャルディスプレイ法が、特定のストレス条件に対して発現応答する遺伝子のクローニングに非常に有効であることが分かったので、この方法をアルカリ性土壌(炭酸塩集積土壌)において特異的に発現する遺伝子のクローニングに応用した。発芽後1週間のイネ幼植物に炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムによるストレスを与えた後にサンプリングし、RNAを抽出した。RNAを鋳型としてランダムプライマーを用いてcDNAを合成し、そのcDNAを鋳型としてRAPDプライマーを用いたPCRを行った。SDS-PAGEで分離した後、銀染色でバンドを検出した。コントロールのサンプルと比較することによって、ストレス下で特異的に発現している遺伝子cDNAのバンドを切り出し、その抽出液を鋳型とした再PCRの後プラスミドベクターにサブクローニングした。部分的に決定した塩基配列をもとにデータベースを検索し、cDNAの同定を行い、必要に応じて5'・3'-RACE法で全長のcDNAを得た。そのうちのいくつかのクローンについて全塩基配列を決定した。その中でリンゴ酸酵素、ヒートショックプロテインおよび未登録のcDNAが得られ、それらのストレス特異的な発現がノーザンブロットによって確認できた。リンゴ酸酵素は、細胞内pHの調節に大きく関わる酵素であり、本研究の結果もストレス下の細胞内pHの調節と関連があると考えられた。そこで、リンゴ酸酵素の他に細胞内pHの調節に関わると考えられるPEPCase、炭酸脱水酵素遺伝子等のストレス下の発現応答について詳細に解析した。
【研究代表者】
【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】1998 - 1999
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)