気候変動影響評価のための森林生態系動態モニタリングおよびモデルの構築
【研究分野】林学・森林工学
【研究キーワード】
気候変動 / 森林生態系 / 森林動態 / 水循環 / 物質循環 / モニタリング / モデル / 演習林
【研究成果の概要】
気候の異なる4つの大学演習林(九州大学:北海道,宮崎,福岡;宮崎大学:田野)で気象,水・炭素・窒素循環,樹木等の動態をモニタリングし,この観測結果に基づいて森林動態モデルと水・物質循環モデルを構築し,これを統合化して気候変動の影響評価・予測が可能なプロセスベースドモデルを構築することを目的とした.森林動態においては,長期生態研究に資する7つの森林動態モニタリングプロットを(北海道,2;宮崎,3;福岡,1;田野,1)を設置し,統一した調査方法(環境省モニタリング1000)でモニタリングを開始し,森林動態の基礎データを整備した.さらに,森林動態モニタリングに資するリモートセンシング技術を開発した.水循環においては,各種林分(スギ,ヒノキ,常緑広葉樹,竹)の蒸発散に関して樹液流計測に基づくプロセス研究を実施し,蒸発散プロセスを解明すると共に,各林分における樹液流計測に関する指針を提示した.また,国内外の長期水収支研究およびフラックス研究の成果を精査し,日本における樹木の生長・林分密度・樹種の変化が流域の水収支に及ぼす影響を明らかにするとともに,簡便な蒸発散プロセスモデルを構築した.物質循環においては,日本で観測例がほとんどない蛇紋岩帯の試験流域で総合的な水・物質循環観測を実施し,従来日本で常識とされていた水・物質循環プロセスは,基岩が異なる場合適用できないことを明示すると共に,出水時と低水時の窒素・リンの流出形態の違いを明らかにし,実用的で精度の高い窒素・リン流出モデルを構築した.
【研究代表者】