養菌性キクイムシが媒介する樹木萎凋病の発生リスクに影響する環境要因と系統的制約性
【研究分野】森林科学
【研究キーワード】
キクイムシ / メタゲノム解析 / 選好性 / 壊死 / 樹木萎凋病 / ミトコンドリアDNA / 攻撃性 / 寄主サイズ / キクイムシ科 / ナガキクイムシ科 / エタノールトラップ / 季節性 / 系統制約性 / 多様性 / 次世代シーケンサー / 系統関係 / 共生菌 / 寄主植物 / 群集動態 / 非平衡 / 矯正菌 / 分子系統関係 / 病原力 / 養菌性キクイムシ / 環境要因 / アンブロシア / 萎凋病
【研究成果の概要】
ナラ枯れの病原菌であるRaffaelea quercivoraについて、インドネシア産の菌を現地の8樹種に接種した。その結果、日本で日本産樹種に接種した場合に比べると、壊死変色部の広がりは小さく、日本以外でナラ枯れが発生しない原因は、植物の抵抗性が関係しているものと考えられた。樹木萎凋病の発生リスクに関係すると考えられるキクイムシ類の材の新鮮度や太さに対する選好性を評価した。キクイムシの胞子貯蔵器官内の菌相をアンプリコン解析により調べ、主要共生菌の割合の季節変動が大きいことを明らかにした。キクイムシ類のミトコンドリアDNAの全シーケンスをGenbank登録データとほぼ同数の種について解読した。
【研究の社会的意義】
日本のブナ科樹木が病原菌であるRaffaelea quericovoraに対する抵抗性が弱いことが、1990年代から日本各地で被害を引き起こしているナラ枯れが日本でのみ発生する原因の主要な要因であることを明らかにした。また、世界中で被害を引き起こして問題となっているキクイムシによる樹木胃腸病のリスクを決定する上で重要な要因であるキクイムシの選好性について、評価手法を確立した。小型でDNAの採集が困難なキクイムシのミトコンドリアDNAの全シーケンスを次世代シーケンスで解読し、既知の種数を倍増させた。高いノード支持率を示しキクイムシ類の優れた分子マーカーになりうることを示していた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
楠本 大 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 講師 | (Kakenデータベース) |
竹本 周平 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2016-04-01 - 2020-03-31
【配分額】41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)