大型草食動物の歯牙形態に関する進化生態学的研究:遺伝子から時代変化まで
【研究分野】生態・環境
【研究キーワード】
歯 / 摩耗 / マイクロウェア / 三次元形状 / 食性 / 古生態 / ニホンジカ / 遺跡 / 哺乳類 / 恐竜 / 食性推定 / 歯牙異常 / 古環境復元 / リュウキュウジカ / 更新世 / ニホンカモシカ / 大臼歯 / 微細磨耗 / 共焦点顕微鏡 / 化石 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 形態 / 房総半島 / 進化
【研究成果の概要】
大型草食哺乳類を対象に、食性・生息環境と歯牙の微細摩耗痕の関係を明らかにするとともに、得られた関係を用いて絶滅種や遺跡出土動物の食性復元に取り組んだ。食性が明らかな現生種(ニホンジカ、ニホンカモシカ、ニホンザル、イノシシ)を対象に分析を行ったところ、反芻類においては、イネ科植物の採食割合が増えるほど、植物中に含まれる珪酸体の影響により、歯の表面には深い傷がより多く形成され、表面の起伏が激しくなることが示された。一方、雑食性の種においては、繊維質な植物の採食で起伏がより平坦になるのに対し、硬い種子などの採食で起伏が激しくなることが明らかとなった。これにより化石種の定量的な食性復元が可能となった。
【研究の社会的意義】
歯の表面に形成される微細な摩耗痕は、古生物学や古人類学において絶滅種の食性の指標として注目されてきた。近年、電子顕微鏡での観察に代わる手法として工学分野で用いられる共焦点顕微鏡を利用することで、微細摩耗痕の3次元形状の定量的な評価が行えるようになった。本研究では絶滅種の定量的な食性復元を目指し、食性がわかっている現生種の標本を多数分析したことで、餌の特性と微細摩耗痕の形状の関連性を明らかにした。この成果は今まで食性がわからなかった絶滅種の生態復元に役に立つのみならず、現生種でも生態観察が難しい希少種の生態解明の一助となることが期待される。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2017-02-07 - 2022-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)