DNA多型解析と安定同位体トレーサー試験による森林成立・再生過程の解明
【研究分野】林学
【研究キーワード】
一次遷移 / 先駆植物 / 菌根菌 / 富士山 / ニセアカシア / マングローブ / 熱帯林 / マイクロサテライトマーカー / マイクロサテライト(SSR) / 外生菌根菌 / 森林再生 / 河川敷
【研究成果の概要】
持続的な森林管理という観点から、自然の森林再生過程の特徴を効果的に取り込んだ低エネルギー投入型の人工造林法を開発していく必要があると考え、本研究では、先駆樹種や外生菌根菌の繁殖特性を十分かつ正確に把握それをもとに、新たな森林再生の管理技術を発想することを目指した。
遷移途上にあるいくつかの試験地で、樹木の繁殖機構を明らかにした。初めに、それぞれの種に対しマイクロサテライトマーカーを作成して個体群の多型解析を行い、花粉および種子散布機構を推定した。また、栄養成長する樹種では、有性生殖と無性生殖のバランスが環境条件によってどのように変化するかについても、研究を進めた。その結果、いくつかの樹種に関する繁殖機構が明らかになった。一方、野外での菌根菌の繁殖機構を明らかにするべく、外生菌根菌の繁殖様式を、いくつかの試験地で分子生態学的手法を用いて調べた。また、現地での外生菌根菌の共生機能を、現地での植栽試験によって調べた。その結果、いくつかの地域でいくつかの外生菌根菌種に関する繁殖機構とこれまで知られていなかったfacilitationという共生機能が新たに明らかになった。さらに、菌根菌感染苗での光合成産物の移動を、^<14>C-オートラジオグラフィーを用いたトレーサー実験によって調べた。その結果、現在世界で最も解像力が高いオートラジオグラムが得られ、光合成産物の転流に関し詳細な知見が得られた。さらに、本研究では、主要な研究手法として、DNA多型解析法を採用したが、個々の解析と平行して、解析方法の改良を試みた結果、いくつかの新手法を確立することができた。とりわけ、新らたに確立したマイクロサテライトマーカーの作製方法は、適応範囲も広く、インパクトが大きい成果と言ってよい。また、Terminal-RFLPによる菌根からの菌種同定法も、シーケンスによる菌種同定を簡便にする手段として、利用価値が高いものと期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小島 克己 | 東京大学 | アジア生物資源環境研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
福田 健二 | 東京大学 | 大学院・新領域創成科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
奈良 一秀 | 東京大学 | アジア生物資源環境研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】39,910千円 (直接経費: 30,700千円、間接経費: 9,210千円)