夜間光衛星画像解析による地域クラスターと環境経済に関する研究
【研究分野】環境影響評価・環境政策
【研究キーワード】
地域クラスター / 環境経済 / ネットワーク分析 / 産学連携 / 地域経済 / リモートセンシング / 企業ネットワーク / イノベーション / 定量的評価 / 空間分析 / ナットワーク分析 / 衛星画像 / 地理情報システム / 成功要因
【研究成果の概要】
地方の経済圏では、高度成長期から1990年頃にかけては、大都市に本社を置く大企業の支店や分工場の新設や大都市圏からの移転が相次ぎ、外観的には東京経済圏へのキャッチアップと産業構造の高度化が進んだかに見られた。しかしながら、1990年代に入って大企業の経営不振とリストラの影響を直接的に受けて、それらの分工場や支店の廃止縮小、海外移転が相次いでおり、当時語られた産業構造の高度化が底の浅いものであったことが明らかになってきた。本研究は、地域クラスターを複雑な人工物と捉え、その入出力関係、内部構造を情報工学の手法、リモートセンシングを用い、工学的にモデル化し、基本構造を同定することである。
昨年度の研究では、夜間光衛星画像を解析することで、地域の経済活動・エネルギー使用量の推定を行った。本年度の研究では、地域経済に関する現状をより深く分析し、理解するために、地域内の大学・企業・産業支援機関の間の共同研究、協力、取引関係のデータを入手し、それらの間のネットワーク構造を分析した。現在、多くの地方都市では中央からの補助金なしには運営が成り立たなくなっている。ところが、京都、浜松など力強い競争力を誇る地域も少ないながら存在する。本年度は、地域間の産業構造の比較分析を行い、高いパフォーマンスを誇る地域はその他の地域と比べ、大学、産学支援機関、企業間の密なネットワークが特徴的であることを実証的に示した。この結果は、大学から企業への知の移転、企業によるシーズの発掘、又、企業から大学への資金の移転が地域経済の復興のために極めて重要な役割を果たしていることを示唆している。地方が自立回転できるために、産学の効果的な連携を促す施策が必要であることを実証的に示唆できた。
【研究代表者】