プロラクチンレセプター遺伝子発現の調節機構と家畜改良への適用
【研究分野】応用動物科学
【研究キーワード】
カゼイン / 乳腺 / 泌乳 / カゼイン遺伝子 / 遺伝子発現 / プロラクチンレセプター / プロラクチン / RT-PCR / 競合的RT-PCR / 泌乳開始 / 泌乳の維持 / ホルモン受容体 / メッセンジ-RNAの測定 / メッセンジ-RNAの合成 / メッセンジャーRNAの分解
【研究成果の概要】
本研究では、生理的時期の異なる乳腺においてプロラクチンレセプターの遺伝子発現がどのように調節されているのかを明らかにした。泌乳のマカ-としてカゼインについても分析を行なった。最初にこれら2種類のタン白質のメッセンジヤ-RNAを測定するため、競合DNAを作成し、競合的RT-PCR法を確立した。得られた成果は以下の通りである。(1)妊娠初期まではプロラクチンとエストロゲンが促進的に、一方、プロゲステロンは抑制的に作用し、プロゲステロンは上記二つのホルモン作用を抑制した。(2)妊娠中期ではプロゲステロンがプロラクチンレセプターの発現で抑制した。卵巣除去によりプロゲステロンが急速に減少し、15時間でレセプター遺伝子が活性化された。レセプター遺伝子の発現は、分娩前に起こることを明らかにした。(3)泌乳中において泌乳とレセプター遺伝子発現の関係を調べた。レセプターmRNAは離乳により急速に低下し、再哺乳により回便した。mRNAレベルは合成と分解との比であり、区別して測定できることを明らかにした。変化の最大の要因としてミルク存在による乳腺内圧が、レセプター遺伝子発現を調節し得る事を明らかにした。(4)泌乳1、5、10、15日において(3)と同様な実験を行なった。レセプター遺伝子発現は、1日目で最も活発であり、以後徐々に低下した。一方、カゼインmRNAの合成は、5日で最も活発であった。このちがいは、レセプターは膜に結合して長期間細胞に留まる。カゼインは合成後細胞外に排出するためと考えられる。カゼイン合成とプロラクチンレセプター数と良く相関することからも推測できる。レセプター遺伝子発現から乳腺機能を明らかにした。
【研究代表者】