受精前後における遺伝子発現リプログラミングへのヒストン変異体の関与について
【研究キーワード】
遺伝子発現リプログラミング / ヒストン変異体 / 初期胚 / 卵 / クロマチン構造 / リプログラミング / 着床前初期胚 / 遺伝子発現のリプログラミング / ヒストンH3変異体 / 1細胞期胚 / 初期発生 / 遺伝子発現
【研究成果の概要】
受精前後において遺伝子発現リプログラミングが起こるが、本研究ではヒストン変異体の動態に着目し、そのメカニズムの解明を目指した。
研究の成果として、受精直後のマウス1細胞期胚において、H3変異体においてはH3.1/H3.2が極端に少なく、ほぼH3.3のみがクロマチンに存在し、またH2A変異体についてはH2A.XとTH2Aのみが多く存在していることが明らかとなった。ノックダウン/アウトおよび過剰発現によって、遺伝子発現およびクロマチン構造の変化が確認されたことから、これらがリプログラミングに関与していることが示唆された。
【研究の社会的意義】
現在、クローン動物やiPS細胞の作製成功により、リプログラミングについて高い関心が寄せられている。しかし、これまでのところ、受精前後におけるリプログラミングについては、その調節機構を調べた研究は極めて少ない。本研究により、リプログラミングの調節機構が明らかになることで、発生あるいは細胞分化を人為的に支配する途が新たに開けることが期待される。また、現在のところiPS細胞およびクローン動物作成の成功率が低いが、これはゲノムのリプログラミングが正常に進行していないことがその主な原因と考えられる。したがって、本研究の成果は効率的なiPS細胞およびクローン動物の作成法に新たな途を開くものと考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】44,330千円 (直接経費: 34,100千円、間接経費: 10,230千円)