新教育運動における「共同体」形成論の出現と「学級」概念の変容に関する比較史的研究
【研究分野】教育学
【研究キーワード】
新教育運動 / ドイツ新教育 / アメリカ新教育 / イギリス教育 / 共同体 / 学級 / 世紀転換期 / 比較教育史 / イギリス新教育 / 新教育 / コミュニティ / ゲマインシャフト / 学校 / 国際比較 / 比較史 / 新教育連盟
【研究成果の概要】
本共同研究は、新教育運動における「学級」概念およびその実現形態に対する批判が同運動の主導者たちによる「共同体」に関する議論と密接に関連していたことに注目し、両者の関係を多角的に分析することを課題として設定した。教育に関する比較史的立場から、複数の国(イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国)を対象にした。
第1章では、ドイツにおける最初の本格的な田園都市ヘレラウを対象にした教育学研究のプログラムを提示し、「共同体の学校」に関する事例研究の一つの方向性を示した。第2章では、個人主義および個性主義を主要概念として用いつつ、アメリカ合衆国の新教育運動において、共同体形成論と学級編成論とがどのような関係にあったかを分析した。第3章では、近代化を早期に成し遂げたがゆえに、多岐にわたる社会問題への解決を迫られていたイギリスの新教育運動を取りあげ、新しい「共同体」意識と個性概念を軸に新教育的な学校の特色を検討した。第4章では、19・20世紀転換期のドイツ社会における共同体(ゲマインシャフト)概念の特徴を吟味したうえで、学習集団のゲマインシャフト化を推進することによって学級のあり方をラディカルに再編していったオーデンヴァルト校の「コース制度」を取り上げ、その内容と特質を明らかにした。付論においては、新教育運動研究の重鎮である長尾十三二氏および中野光氏を交えて開催された本共同研究会の成果を踏まえながら、新教育運動研究に関する注意点を記し、本編を総括した。
【研究代表者】