近代家畜貿易と家畜衛生のグローバル化 ―太平洋圏と大西洋圏の比較史―
【研究キーワード】
グローバル史 / 感染症 / 家畜貿易 / 家畜衛生 / 肉食化 / グローバル化 / 食と動物の歴史
【研究成果の概要】
本国際共同研究は、家畜衛生と家畜貿易のグローバル化を、経済・政治・社会・文化といった異なる観点から考察する。ヨーロッパを中心とした各国の研究者との学術交流を通して、大西洋圏と太平洋圏において牛・豚・鶏が国境を跨ぎ大量に取引されるようになり、これに伴う感染症のリスクを抑制するためどのような国際的な防疫体制が構築されたのかを問うことが目的である。具体的に、国際家畜貿易市場の拡大を明らかにした近年の環境経済史の成果を取り入れ、家畜貿易と家畜衛生の発達をグローバルな視点で捉え直す。
基課題では、1860年代から1970年代を対象期間に据え、日独「両国内」と「両国間」の比較を軸に肉食社会の台頭を分析してきたが、国民国家を基本単位とするのではなく、国際社会の枠組みのなかで、複数国の相互連関から食肉が大量かつ安定的に生産されるように至った経緯を解明する。そのため、大西洋圏と太平洋圏を対象に据えた共同研究チームを2つ立ち上げ、各国の利害関係がいかに絡み合い、家畜貿易と家畜衛生の国際化がいかに形作られていったのかを考察する。これにより、北米・ヨーロッパ・東アジア・オセアニアを結合した、比較対照豊かな国際共同研究を基盤とした肉食社会化研究が可能となる。
ドイツにおける家畜衛生史研究の第一人者でもあるベルリン工科大学教授のDorothee Brantzのもと2年間の研究拠点をベルリンに置き、令和4年度は、大西洋圏における家畜貿易と家畜衛生の国際比較史研究を実施し、令和5年度は、太平洋圏における家畜貿易と家畜衛生の国際比較史に従事する。
【研究代表者】
【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
【研究期間】2021 - 2023
【配分額】12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)