時政学の構築-“政治的資源としての時間”の解明-
【研究分野】政治学
【研究キーワード】
時間 / 時政学 / グローバル化 / 戦争 / 時間構造 / 時間資源 / 時間環境 / 近代 / 宇宙開発 / 非国家主体 / 戦略論 / 食品安全 / ヒバクシャ / 政治的資源 / 基地政策 / 平和構築 / 安定化 / ポール・ピアソン / ポールヴィリリオ / ヴォルフガング・シュトレーク / Tim Stevens / 時間の政治学 / 永井陽之助 / 大森荘蔵 / 真木悠介 / 戸田正直
【研究成果の概要】
本研究では、現代世界における“政治的資源としての時間”の位相を解明し、政治学・国際関係論の新たな分析視角として「時政学Chrono-Politics」のアプローチを構築した。
その際には、以下2点を機軸とする共同研究を行った。①理論研究:政治の「基礎構造としての時間」の持続と変容の解析 ②事例研究:政策過程における「稀少価値としての時間」の分析。これらの研究成果のピアレビューを通じて、今日加速しつつある時間資源の稀少化が国内/国際政治にもたらしている新たな可能性と限界を明らかにしている。
共同研究の成果は、高橋良輔・山崎望編『時政学への挑戦』ミネルヴァ書房として2019年度に刊行予定。
【研究の社会的意義】
過去四半世紀にわたる政治学・国際関係論の重要な焦点は、グローバル化にともなう政治空間の再編成であった。だが社会科学における空間論転回は、重大な盲点ももたらす。それは、空間と並んで政治の基礎条件となっている“時間構造”の分析である。それはしばしば「歴史」にまで拡大されてしまうか、政策決定者の判断をめぐる「慎慮」の問題に還元されがちであった。これに対して本研究は、政治的営為を可能にするとともに制約もする、基礎構造/稀少価値として“時間”を主題化することで、政治学における理論的考察と経験的分析の双方に新たに「時政学」の視角をもたらし、いっそう立体的な記述理論・規範理論の発展に寄与している。
【研究代表者】