倍数性作物サツマイモにおいて遺伝子機能解析を加速するゲノム編集技術の開発
【研究キーワード】
ゲノム編集 / 形質転換 / サツマイモ / 倍数性 / 線虫抵抗性 / 遺伝子機能解析
【研究成果の概要】
本研究では、代表的な倍数性作物種であるサツマイモを対象に、遺伝子機能解析を加速させるためゲノム編集技術を開発する。最近、研究担当者らは、遺伝解析が極めて困難とされてきたサツマイモ(2n = 6x = 90)を対象にNGSを利用したゲノムワイドな遺伝解析を行い、さまざまな農業形質(線虫・ゾウムシ抵抗性、収量性や塊根の皮色等)にかかわるゲノム領域を同定した。さらに、トランスクリプトーム解析や全ゲノムリシーケンスのデータなども組み合わせることにより、線虫抵抗性ならびに塊根皮色を制御する候補遺伝子をそれぞれ1つに絞り込むことに成功した。しかしながら、これら候補遺伝子の機能解明には至っておらず、原因遺伝子であると証明されてはいない。遺伝子機能を詳細に調べるためには、その遺伝子を改変した植物体を作出する必要がある。
ゲノム編集はターゲット遺伝子をピンポイントで改変可能な技術であり、今後作物の効率的な品種改良には欠かせない技術となりうると考えられる。一方ゲノム編集の効率は植物細胞への遺伝子導入や植物体の再生効率に大きく影響を受ける。さらに植物は、倍数性や繁殖様式などの遺伝的特徴も異なる。よって、それぞれの植物種に適したツールの開発ならびに手法の確立が不可欠である。特にサツマイモについては形質転換の難易度が高く、6倍体で栄養繁殖性を示すため交雑育種や戻し交雑等である特定の遺伝子だけを取り除く、あるいは導入することが極めて難しい。そこで本研究では世界で7番目に生産量の多い重要作物であるサツマイモを対象にゲノム編集技術を開発し、遺伝子機能解析ならびに遺伝子改変した品種の効率的な育成に取り組む。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大谷 基泰 | 石川県立大学 | 生物資源環境学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
刑部 祐里子 | 東京工業大学 | 生命理工学院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
田淵 宏朗 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 九州沖縄農業研究センター | 上級研究員 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)