非嗅覚組織に発現する嗅覚受容体のリガンド輸送機構の解明
【研究キーワード】
嗅覚受容体 / 異所発現 / トランスポーター / 輸送体 / 短鎖脂肪酸
【研究成果の概要】
本研究では、鼻以外に発現する嗅覚受容体周辺で高発現する輸送体の新規輸送基質の同定、ならびにその活性調節における嗅覚受容体の関与を検証することで、非嗅覚組織に発現する嗅覚受容体に対するリガンドの輸送機構を解明する。
短鎖脂肪酸は、鼻以外に発現する嗅覚受容体Olfr558およびOlfr78に受容されることで生理機能に関わることが明らかとなってきた。しかし、どのような分子によって短鎖脂肪酸が取り込まれ、受容体に到達するのかは不明である。また、嗅覚受容体の活性化が、周辺に発現する輸送体の基質輸送に与える影響も明らかではない。
本年度はアフリカツメガエル卵母細胞を用いたswelling assayにより、ヒトおよびモルモットのアクアグリセロポリンAQP10の活性測定を行った。アフリカツメガエル卵母細胞は、cRNAを導入することで効率良く膜タンパク質を発現させることができるため、膜に発現する輸送体の解析に適した実験系である。その結果、これらの輸送体について、いくつかの化合物の輸送活性を測定することに成功した。
また、輸送体発現細胞を、短鎖脂肪酸水溶液に浸してインキュベーションしたのち、有機溶媒で抽出したサンプルを分析し、細胞に取り込まれた短鎖脂肪酸を同定するといった実験のため、当初計画していたLC-MS/MSだけでなく、HPLCを用いての有機酸の検出系の検討を行った。その結果、一部の有機酸については未だ検出できていないものの、有機酸標品の検出および定量が概ね可能となった。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)