ナノバブルによる種子の発芽促進条件の明確化と発芽プロセスのモデル化
【研究キーワード】
ナノバブル / ウルトラファインバブル / 活性酸素 / ヒドロキシルラジカル / スーパーオキシドラジカル / 種子発芽促進 / 発芽モデル / ESR / ファインバブル / 種子発芽
【研究成果の概要】
ナノバブル(NB)水による種子の発芽促進とそのメカニズムの解明を目的に、オオムギ種子の発芽実験を行った。同時に、NB水を試料としてESR法による活性酸素(ROS、ヒドロキシルラジカル,・OH)の検出を試みた。
その結果、オオムギ種子ではNBの個数濃度が10の8乗/mLのレベルで安定的に発芽の促進が示された。更に、発芽過程のモデル化に用いたs-shaped modelにおけるパラメータT50(最大発芽率の50%に達するに要する時間)が発芽促進効果の判定に有効であることを示した。 また、高濃度の酸素NB水において・OHが検出されたことを踏まえ、・OHが誘起する発芽促進メカニズム(仮説)を示した。
【研究の社会的意義】
ナノバブルはバルク水中のサブミクロンオーダーの気泡を指す。これを含有するナノバブル(NB)水が種子の発芽を促進し、s-shaped modelにより発芽過程のモデル化が可能となり、オオムギ種子では10の8乗レベルのNB個数濃度において種子発芽が安定して促進された。更に、個数濃度が高い酸素NB水でOHラジカル(・OH)の発生がESR法により捉えられたことで、・OHに起因して種子内のスーパーオキシドラジカルが誘起され、発芽促進に至るメカニズムが示唆された。
以上、NBの個数濃度を指標とした発芽促進条件が明確にされたので、現場へのNB水の適用が容易になり、穀物生産の向上に貢献できると期待される。
【研究代表者】