熱帯荒廃地造林のための環境ストレス耐性樹種開発の基礎研究
【研究分野】生物資源科学
【研究キーワード】
環境ストレス / ストレス耐性 / 荒廃地造林 / 熱帯樹木 / マメ科樹木 / フタバガキ科樹木 / Melaluca cajuputi / 環境修復 / 熱帯性マメ科樹種 / フタバガキ科樹種 / Melaleuca cajuputi / アルミニウムストレス / ストレス耐性機構 / カルス培養 / 糖 / 滞水ストレス / 強酸性ストレス / 強アルカリストレス / 熱帯産マメ科樹木 / 乾燥ストレス / 高温ストレス
【研究成果の概要】
荒廃地の環境ストレスに対しある程度の適応性を示す樹種を選抜し,これらの環境ストレスへの適応機構を解明しようとした。これまでに熱帯産のマメ科樹種のAcacia mangiumとAcacia auriculiformisを用いて,熱帯に広く分布する酸性土壌を想定し,低pHストレスに対する反応を明らかにしてきたが,さらに樹種を増やし,低pHと高pHに対する反応を調べた。その結果,熱帯造林に使用される樹種のpH適応幅が異なることがわかった。酸性土壌においてはアルミニウムの過剰障害が起こる。これらの熱帯産のマメ科樹種のアルミニウム過剰への適応機構を,アルミニウムをキレート化する有機酸の放出に焦点をあてて調べた。その結果,Paraserianthes falcatariaがアルミニウムストレス下で誘導的にクエン酸を根から放出していることがわかった。また湿地の開発に失敗し放棄された荒廃地は,滞水等のストレスが樹木の生育を制限する。湿地周辺に生育する樹種の発芽時のストレスへの反応を調べた。その結果,様々なストレスに対する各樹種の発芽時の耐性が明らかになった。このうち最も滞水に対し適応力の大きいMelaluca cajuputiの滞水に対する耐性機構を発酵系の酵素活性に焦点をあてて調べた。その結果,ADH活性が滞水ストレス下で高まることがわかった。熱帯降雨林の超高木性樹種であるフタバガキ科樹木は,従来環境ストレス耐性が弱いとされてきたが,将来は,フタバガキ科の優占する現存量の大きい熱帯林の再生も考える必要がある。フタバガキ科樹木のうち環境ストレス耐性が比較的強いと考えられるものから,組織培養系を確立した。
【研究代表者】