鋳型非依存性RNAポリメラーゼCCA付加酵素によるCCA付加の動画の作製
【研究分野】構造生物化学
【研究キーワード】
X線構造解析 / RNA-蛋白質複合体 / ポリメラーゼ / 鋳型非依存性 / 反応機構 / RNA / 核酸合成 / tRNA / 修復 / 鋳型
【研究成果の概要】
tRNAの3'末端CCA配列(74-76の位置)は、tRNAの末端へのアミノ酸付加および蛋白質合成におけるリボゾームとの相互作用に必須である。CCA配列は、CTPおよびATPを基質として、CCA付加酵素と呼ばれる鋳型非依存性RNAポリメラーゼによって修復、あるいは新規合成される。CCA付加酵素が核酸の鋳型を用いずに定まった配列を定まったプライマーへ付加するメカニズムは未解決のままである。本研究において、我々は、Aquifex aeolicus由来の酵素の結晶構造を、末端のアデノシンが欠けているtRNAおよび付加されるATPアナログと結合した状態で決定した。この構造は世界で初めての鋳型非依存性RNA合成酵素の三者複合体の構造を決定したものである。酵素はtRNA分子のアクセプター・Tヘリックスを包み込むように結合している。触媒ポケットにおいて、ATPの塩基はそれに相補的なアミノ酸残基によって認識されており、またC75はATPに隣接しており、それらの塩基部分は互いにスタッキング相互作用をしている。tRNAのC74-C75を認識する相補的ポケットはヌクレオチドに対して蛋白質性の鋳型を形成しており、これは鋳型依存的ポリメラーゼによって用いられるヌクレオチドの鋳型を模倣している。我々の構造は、鋳型非依存性RNA合成酵素の分子的基盤を提示したのみではなく、核酸から蛋白質への機能移譲の進化的メカニズムを理解するうえで重要な知見を与えるものである。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,100千円 (直接経費: 3,100千円)