漁業混獲物の高度利用:深海海綿からの医薬素材の探索
【研究分野】水産化学
【研究キーワード】
深海 / 海綿 / 医薬素材 / 生物活性 / 細胞毒性 / 構造決定 / 深海海綿 / 漁業混獲物 / theopederin / セスタテルペン / マクロライド / 構造解析 / 抗菌・抗カビ性 / 酵素阻害活性 / タカシガニ漁
【研究成果の概要】
先ず、深海海綿が医薬素材として有用なことを確かめるために、奄美大島沖の大島新曽根の水深150mの海域においてドレッジにより78種類の海綿採集して、医薬として重要な生物活性を調べたところ、ほぼ全ての種類に細胞毒性が認められたのをはじめ、70%以上の種類になんらかの抗菌・抗カビ、あるいは酵素阻害活性が認められた。したがって、深海海綿が医薬資源として有望なことが示された。活性を示した海綿から以下の化合物を単離した。
(1)Discodermia japonicaから、HeLa細胞に対してIC50値1.8ng/mLと強い細胞毒性をもつ化合物が得たが、カリブ海産深海海綿から報告されている既知化合物のtheopederin Kと一致した。
(2)Stoeba extensaから、shinsonefuranと命名した新規物質を分離した。この化合物の構造を機器分析と化学的手法により解析した結果、新規炭素骨格をもつセスタテルペンであることがわかった。なお、同時に単離した既知物質であるhalisulfate 7の立体構造を訂正した。
(3)Poecillastra sp.から強い細胞毒性をもつ新規マクロライドを分離した。
さらに、静岡県戸田漁協のタカアシガニ漁業者の協力を得て入手した数種類の海綿のうち1種が、P388マウス白血病細胞にして強い細胞毒性を示したため、活性成分の単離・構造研究を継続して行っている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中尾 洋一 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
松永 茂樹 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2002 - 2003
【配分額】17,200千円 (直接経費: 17,200千円)