アフリカ南東部における淡水産板鰓類の系統進化・環境適応および保護に関する研究
【研究分野】水産学一般
【研究キーワード】
淡水産板鰓類 / オオメジロザメ / ノコギリエイ / マダガスカル / ザンベジ川 / 環境適応 / 系統 / 保護 / 出現 / 平衡砂 / 水質調査 / アミメオトメエイ / ブジ川 / ベツボカ川 / 浸透圧 / 分布 / セントルシア湖 / マハジャンボ川 / リンポポ川
【研究成果の概要】
アフリカ南東部のザンベジ川やリンポポ川からは古くからオオメジロザメやノコギリエイの出現が知られていたが、海水に適応しているそれらの板鰓類がなぜ淡水域に進入し、そこで生活しているのかは不明であった。これまで出現の報告がなされていたザンベジ川、リンポポ川、セントルシア湖ではそれらの板鰓類の採集はできず、現地の漁師の話から量的に非常に少なくなっていることが示唆された。特にリンポポ川、セントルシア湖では近年、全くその姿を見ていないとのことである。ザンベジ川では河口域で時々、漁獲されるとのことであったが、今回の調査では採集できなかった。一方、マダガスカルではKiener(1963)による森林熱帯技術センターの「マダガスカルの魚類報告書」に記載され、出現が確認されているノコギリエイとオオメジロザメがベツボカ川河口域で採集された。上記報告書ではキンコニー湖でもその出現が報告されているが、我々の調査ではキンコニー湖から海へ繋がる河川が浅くなり、湖ではそれらの板鰓類を見ることはできなくなったとのことであった。ベツボカ川での我々の調査においてもオオメジロザメは3尾しか採集されず、それらも出生後間もない個体であった。また、ノコギリエイも出生直後の3個体と未成熟の1個体が採集されたのみで、採集できた個体数は少なかった。これらの個体は今までにマダガスカルの標本として残されていないため、それぞれ1個体ずつ標本として日本に持ち帰り、博物館に保管し、現在標本についての記載報告を国際誌にしている。残りの個体は現地で各研究者の分析・解析用に解剖し、必要な組織を持ち帰り、研究に供した。これまで行った平衡砂の微量元素の分析からはベツボカ川で採取したオオメジロザメのストロンチウム・カルシウム濃度比がノコギリエイのそれに比べ高いこどから、最近、淡水域に進入してきたことが伺われた。
【研究代表者】