コンポジット電解質膜を用いた中温無加湿作動燃料電池システムの構築と信頼性評価
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
燃料電池 / 電解質膜 / コンポジット / 無機固体酸 / 中温 / 信頼性 / リン酸 / イオノマー / 触媒
【研究成果の概要】
コンポジット電解質膜を設計し、100℃を超える中温領域において無加湿条件でも作動する燃料電池を構築した。特にジメチルアセドアミド(DMAc)を用いて湿式ミリングで微粉砕した硫酸水素セシウム-ケイタングステン酸複合体(CHS-WSiA)を添加することで、PBIコンポジット電解質膜の均質性が大きく向上した。CHS-WSiA/TiO2を添加したPBIコンポジット電解質膜を用いた燃料電池は150℃、無加湿条件下で安定して作動し、pure PBI電解質膜と比較し2倍以上の高い出力特性を達成した。また、CHS-WSiAを電極三相界面にイオノマーとして添加した場合にも発電特性が向上することを確認した。
【研究の社会的意義】
PBI電解質膜内に添加されたCHS-WSiAの水素結合を介し、新たなプロトン伝導パスが形成され、微粉砕を行うことで有効表面積が増加し、燃料電池発電特性の高性能化が達成された。TiO2はPBI中でリン酸を保持する性能があることを見出した。また、CHS-WSiAは燃料電池電極三相界面においてもイオノマーとして有効に作用することがわかった。これら知見は、中温無加湿条件で安定作動する次世代燃料電池を開発する上で有用であり、クリーンエネルギー源である燃料電池の普及と低炭素社会の実現に大きく寄与するものである。
【研究代表者】