ドローン支援表現型解析技術を用いたイネ科作物の理想的群落構造の再設計
【研究キーワード】
トウモロコシ / 耐倒伏性 / 群落構造 / 草型 / 群落形成 / 画像解析
【研究成果の概要】
初年度はまず,収量特性が異なる茎葉型および子実型の2品種を北海道大学と東京大学の2地点で栽培した.北海道大学では,ドローン画像および群落内部の仰視画像を経時的に取得し,登熟初期の地上部構造特性を個体・群落規模で調査した.構造解析には投影法および層別刈り取り法を用い,各節の個葉形態や葉身傾斜角度および雌穂着生位置など,個体の草型を決定する形態形質を評価した.加えて,群落内の葉面積分布と光透過特性などの基本的な群落構造特性を解析した.東京大学では,ドローンおよびローバー型地上走行ロボットに搭載した各種センサーを用いて群落表層および内部の構造情報を経時計測し,画像解析や3次元点群再構築による形態評価手法の開発を行った.
構造解析の結果,個体および群落の構造特性には顕著な品種間差異が認められた.茎葉型品種では群落上層の葉面積が多く,これは上位節間が狭く,中位葉の葉身傾斜角度が大きいことに起因していた.子実型品種では個体あたりの葉面積は少ないものの,上位節間が長いことに加え,着雌穂葉の葉身傾斜角度が有意に小さいことにより,子実充填への寄与が大きい着雌穂葉の光捕集効率が高まったと考えられた.また,雌穂着生位置が茎葉型品種に比べて有意に低く,地上部の重心高を低下させることで耐倒伏性の向上に寄与していた.以上より,本試験で供試した子実型品種では,収量性と耐倒伏性の両立に有利な形態特性を備えていることが示唆された.今後は,このような形態形質の品種間差異について新規解析技術の応用を試みる.本年度までに,トウモロコシ幼植物体の3次元再構築やドローン計測による群落表層構造の時系列観測については基礎データが既に得られている.一方で,ドローン計測による評価が困難な群落内部の構造解析についてはさらに改良を進める必要がある.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
加藤 洋一郎 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
郭 威 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)