遺伝性視神経欠損ラットの栄養生理的特性と代謝リズム
【研究分野】食品科学・製品科学
【研究キーワード】
小眼球症 / サーカディアンリズム / 環境同調因子 / セロトニンN-アセチル基転移酵素 / インフラディアンリズム / 黄体形成ホルモン(LH)サージ / チロシンヒドロキシラーゼ / ドーパミン / メラトニン / セロトニン / 免疫組織化学的染色 / 摂食 / 性周期 / 光 / セロトニン N-アセチル基転移酵素 / 視神経欠損 / 生体リズム / 自発行動リズム / オルニチン脱炭酸酵素
【研究成果の概要】
本研究は、ドンリュー系の突然変異種である遺伝性視神経欠損ラットを時間生物学のモデル実験動物として用いるための栄養・生理・生化学的特性に関する基礎的知見を得ることを目的とし、以下の知見を得た。1.遺伝性視神経欠損ラットの繁殖・生育特性:兄妹交配により作出したこの視神経欠損ラットについて13世代まで交配を進め、出産率は低下し、欠損出現率は増加し、成育は遅滞し、寿命はほぼ正常であり、血液生化学的諸指標の日内周期は正常であることを明らかにした。また、自発行動リズムが消失した個体から脳視交叉上核を完全に欠失したラットを発見した。2.行動リズム:本補助金で導入した自発行動・摂食行動自動測定記録装置(LCM-10)をもちいて、行動・摂食リズムが自由継続(フリーラン)していることを観察した。また、本突然変異ラットのサーカディアンリズム形成に及ぼす給餌周期・温度周期・メラトニン投与周期など光刺激以外の環境因子の影響を体内時計の同調との関連で検討した。3.酵素活性リズム:松果体セロトニンN-アセチル基転移酵素、肝・腎オルニチン脱炭酸酵素などの代謝酵素活性の日内リズムが外見上消失しているが、主観的昼夜で解析すると、新たなリズムパターンが出現すること明らかにした。4.性周期:本突然変異雌ラットのインフラディアンリズムの例としてLHサージ測定とスメアテストを行った結果、サーカディアンリズムと同様に性周期もフリーランしていること明らかにした。5.脳モノアミン代謝:チロシンヒドロキシラーゼ抗体を用いた免疫組織化学的観察で黒質と視床下部のドーパミン産生ニューロン及びモノアミン濃度は正常ラットのそれと比べて異常は観察されなかった。以上の結果から、この遺伝性視神経欠損ラットには、光入力系の視神経・視交差が完全に欠失している以外に著しい異常はこれまでのところ観察されず、時間生物学のモデル実験動物として有用であることが結論された。
【研究代表者】