有機塩素系農薬を30年間連用した畑土壌からの新規脱塩素遺伝子・酵素群の単離
【研究分野】植物栄養学・土壌学
【研究キーワード】
土壌 / 農薬長期連用圃場 / γ-HCH / 土壌DNA / lin遺伝子 / ジオキシゲナーゼ遺伝子 / 土壌微生物 / 生態系修復 / IS6100 / 石油成分 / ジオキシゲナーゼ / γ-BHC / 脱塩素遺伝子 / lin遺伝子群 / γ-HCH分解菌 / Sphingomonas paucimobilis SS86 / Sphingomonas sp. / linA / linB / ハロアルカン脱ハロゲン酵素
【研究成果の概要】
1.多様なlinB(ハロアルカン脱ハロゲン酵素をコードする遺伝子)の取得
κ-HCH区土壌の希釈液を集積培養を経ないで直接γ-HCH無機寒天培地に塗布して培養し、新規なγ-HCH分解菌5株を得た。この5株はいずれもSphingomonas sp.に分類された。既知のγ-HCH分解酵素遺伝子の塩基配列をもとにPCR、クローニング、シーケンスを行ったところ、8塩基の部分で相違が見られる多様なIinBが得られた。
また、γ-HCHを添加して培養した堆肥区土壌から抽出した土壌DNAから、可動性遺伝因子IS6100に挟まれた遺伝子を標的としてPCRを行い、増幅産物をクローニング、シーケンスしたところ、塩基配列レベルで多様なlinBが得られた。
2.多様なlinA(脱塩化水素酵素をコードする遺伝子)の取得
農薬長期連用圃場の各区の土壌から直接DNAを抽出し、linAを標的としてPCRを行ったところ、いずれの区のDNAからも増幅産物が得られた。シーケンスの結果、IinA相同遺伝子であることが分かり、また、既知のlinAと数塩基異なる多様性が見られた。 γ-HCH区土壌にγ-HCHを添加して培養した土壌から抽出したDNAからも、既知のIinAとは数塩基配列が異なるIinAが得られた
3.多様な石油成分分解系遺伝子の取得
堆肥区、TPN・堆肥区、TPN・HCH・堆肥区土壌に石油成分ナフタレン・フルオレン・石油エーテルを添加して培養した。培養後の土壌からDNAを抽出し、ナフタレン分解系酵素遺伝子群を標的としてPCRIを行い、増幅産物をクローニング、シーケンスした。全ての土壌からジオキシゲナーゼ遺伝子のものと思われるクローンが得られた。既知のジオキシゲナーゼ遺伝子とほぼ100%の相同性を示すクローンが得られた一方、相同性が低い多様なクローンが得られ、新規なジオキシゲナーゼが数多く存在することが示された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大塚 重人 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
西山 雅也 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】12,100千円 (直接経費: 12,100千円)