イネ科作物の茎葉部と根系の生育に関する総合的研究
【研究分野】作物
【研究キーワード】
イネ / コムギ / トウモロコシ / 茎葉部 / 根系 / 分げつ / 生育 / 分枝 / 吝葉部 / 分枝根 / 品種間差 / シンクーソ-ス関係
【研究成果の概要】
イネの茎頂における葉原基の形成およびその後の発育と出葉について詳細な検討を行なうために、生育段階を的確に示す新たな指標を考案し、これを用いて主茎および分げつ茎における発育を経時的に検討した結果、茎葉部の生育の規則性を定量的に把握することができた。また、根系が茎葉部の生育と密接に対応しながら形成されることが確認され、幼穂形成期以降に急速に増大する根量およびその分布を詳細に検討することに成功した。茎葉部と根系の関係については“葉ざし"法を用いて実験的に検討された結果、光合成・水分生理と形態・生育との密接な関係が推察された。
コムギの収量を規定する分げつの生育について、とくに無効化に着目して検討を行なった結果、局所密度項かが大きな役割を果たしていることを発見した。主茎および分げつにおいては、茎葉部と根系の生育が密接に関連しながら進行することが確認できた。根系は土壊深く伸長する種子根と、土壊表面近くに大量に分布する節根とから構成されていることが明らかとなった。潅水などの栽培管理によって節根の量が大きく変化することや種子根の分枝程度が影響を受けることを定量的に検討した。
トウモロコシはイネヤコムギと異なる生育の規則性を示すため、生育段階を表示するための新たな指標を考案し、葉、茎および根の生育を、個体の体制がいつ、どのようにして決定されるのかという視点から研究を進めた結果、品種群の如何を問わず、栄養相から生殖相への転換が大きな役割を果たしていることを発見した。根系については1次根のみならず、分枝根にも着目した解析を行ない。分枝程度を定量的に捉えることに成功したのみならず、その形成機構について詳細に検討することができた。
【研究代表者】