細菌の細胞周期における蛋白質の燐酸化,カルシウムイオン、細胞骨格様蛋白質の役割
【研究分野】応用微生物学・応用生物化学
【研究キーワード】
ヒストン様蛋白質 / H-NS / 細胞周期 / カルシウム / 細胞骨格様蛋白質 / cafA / ams / rRNA / アルコールデヒドロゲナーゼ / oriC / DNA gyrase / 超ラセン構造 / 大腸菌
【研究成果の概要】
1 大腸菌のoriC-膜複合体中にヒストン様蛋白質H-NSを抗H-NS抗体を用いて検出した。さらにその欠失変異体は、野性株と比べて高頻度に無核細胞を放出し、細胞あたりの核数(ploidy)が減少していることを見い出した。これはH-NSが染色体の複製と分配において重要な役割を果たしていることを示唆している。
2 大腸菌の細胞周期におけるカルシウムの役割を明らかにするために、培地中の高濃度のカルシウムによって生育が阻害される変異株CS2-29と、高温感受性が抑制される株SH3450を分離し、その解析を行った。CS2-29株のカルシウム感受性にかかわる変異を相補する遺伝子を、コスミドベクターを用いてクローン化した。得られたクローンは大腸菌染色体地図上48分にマップされた。同様に、SH3450株のカルシウム依存的増殖にかかわる遺伝子についてコスミドクローンを分離した。得られたクローンは90分にマップされた。現在、これらのクローンからカルシウムに関わる遺伝子のサブクローニングを行っている。
3 過剰発現により細胞内に細胞骨格様構造体を形成するcafA遺伝子の機能を明らかにするためにcafA遺伝子の破壊株cafA::catを構築した。RNaseEの変異株ams1の温度感受性がcafAプラスミドによって部分的に回復されること、ams1 cafA::catの二重変異株ではその温度感受性が増強されることを見い出した。cafA::cat株では16S rRNAの前駆体である16.3S rRNAが蓄積しており、cafAプラスミドの導入によって回復されることを見い出した。これらのことよりcafAは16S rRNAの成熟過程にかかわるRNaseE様のエンドリボヌクレアーゼであることが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
和地 正明 | 東京工業大学 | 生命理工学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1993 - 1995
【配分額】7,400千円 (直接経費: 7,400千円)