糸状菌分泌性蛋白質の高分泌性にプロ配列が果している機能の解明
【研究分野】応用微生物学・応用生物化学
【研究キーワード】
糸状菌 / アスパルティックプロテイナーゼ / キチナーゼ / プロ配列 / Rhizopus / フォールディング / 分泌 / aspartic proteinase / molecular chaperone / S.cerevisiae / pro-sequence / secretion / Rhizopus niveus
【研究成果の概要】
Rhizopus niveus aspartic proteinase-I(RNAP-I)のプロ配列の機能をin vitroで検討するために、プロ配列の切断されていないproRNAP-Iと成熟型RNAP-Iについて、それぞれin vitroで変性させ緩衝液中で再生を起こさせた結果、proRNAP-Iは緩衝液中75%程度まで活性が回復するのに対し、成熟型RNAP-Iは全く活性の回復は見られなかった。またRNAP-Iのプロ配列だけを精製し成熟型RNAP-Iの再生系にトランスに加えた場合、野性型のプロ配列をトランスに効かせた場合は70%程度まで活性が回復した。このことからプロ配列がシャペロンとしての機能を有していることが明らかになった。また、プロ配列に変異が入ったためにS.cerevisiaeで分泌されなくなったRNAP-I改変体について間接蛍光抗体法、細胞分画法、sec変異株を用いて解析を行った結果、これらは小胞体内で分解されていることが明らかとなった。一方、R.oligosporusが菌体外に分泌するキチナーゼ1についてそのC末端にあるプロ配列を除いた改変体遺伝子と野生型遺伝子をS.cerevisiae中で発現させその分泌について検討を加えた結果、キチナーゼ1はプロ配列のない状態でも効率良く分泌されることが明らかになった。またプロ型キチナーゼ1は活性がほとんど見られなかった。さらにR.oligosporusについてパルスラベル、細胞分画法を用いて検討したところ、キチナーゼ1はプロ型のままR.oligosporusの細胞壁まで輸送され自己溶菌に際してプロ配列が切断されることが推定された。またRNAP-I、キチナーゼ1のプロ配列の機能をRhizopus中で検討するためにるためにR.delemarの形質転換系の検討、改良を行いR.delemar内で異種遺伝子を発現させる系を確立した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
堀内 裕之 | 東京大学 | 農学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1993 - 1994
【配分額】7,500千円 (直接経費: 7,500千円)